美術科 工芸コースDepartment of Fine Arts Crafts

[優秀賞]
川和田宗太郎|鉱石茶碗(天目茶碗:輝安?鉄鉱)(鉱茶碗:黒紘?銅鉱)
宮城県出身 
深井聡一郎ゼミ
天目茶碗(70×121×121) 鉱茶碗(90×135×100) 陶土、釉薬

地球のマントルが鉱石を何億年もの歳月をかけて生成する事に対し、私にとって焼き物は、即席で鉱物を生成し作り上げたもののように感じる。抹茶碗と鉱石には鑑賞性などいくつかの共通点があり、抹茶碗でそれを表現することで、その魅力や関係性をより理解できるのではないかと考えた。この四碗は実際に山形県で採取した鉱石をイメージした抹茶碗になっている。


深井 聡一郎 教授 評
入試の際、大きな渋い花器を担いで来た彼は、伝統的な世界を目指していると思っていたので、僕のゼミを選んだ時には少し驚いた。
鉱物マニアの彼は山に登り、鉱物や新しい原料を見つけたとはしゃいで僕に見せ、「陶芸は鉱物が生成する過程と似ている」と言う。
今回の茶碗は2つずつ2種類で構成されている。
一つは彼が実際に見た鉱山をイメージした造形的な茶碗。豊かな膨らみは、掌中で山そのものを感じ取ることができるだろう。まだまだ彼らしい堅さも付きまとうが、これから時を掛けおおらかに展開し続けて欲しい。
もう一つは窯の中で原料の鉱物を再結晶化させる事を目指した天目茶碗。室町時代に宋から輸入された典型的なフォーマットだが、その面白さは、まるでマントルの様に高温で湧き出す素地と、その上で煮え立つ鉄を主体とした釉薬が織りなす世界だ。川和田にしか焼けない大地の生成をいつか見せて欲しい。
スタートラインには立てたな。
優秀賞おめでとう!